西神戸医療センターだより

西神戸医療センターでは、一部の薬剤と救急外来の患者さんにお出しするお薬を除いて、約95%が院外処方です。これまで薬剤部は、入院患者さんに特化してお薬の説明や指導を行ってきましたが、近年、「薬剤師外来」などの新たな取り組みを始め、確かな手応えを感じています。
(お話は、薬剤部の中田薬剤長、奥野副薬剤長、中浴副薬剤長、松尾主査、高栁主査)

 

高い専門性を発揮して、チーム医療を実践

Q:薬剤部の主な業務内容と特長を教えてください。

中田:まず、私たち薬剤師の基本であり、最も重要な仕事は、「正しく調剤すること」と「患者さんに寄り添うこと」です。お薬が飲みにくくないか、使い方を理解されているか、副作用で嫌な思いをされていないかなど、入院患者さんに寄り添ってお話を聞き、状況を把握した上で、医師や看護師に情報提供を行ったり、処方提案をしたりして、効果的な薬物療法を進めています。

高栁:薬剤師の仕事は多岐にわたっています。「調剤業務」だけでなく、入院患者さんのベッドサイドを訪問し、患者さんやご家族に対して治療薬の作用や副作用を説明する「薬剤管理指導業務」のほかには、患者さんが1回使用する分の注射薬(点滴等)を袋に入れて、病棟の看護師のもとに送る「注射薬業務」があります。注射薬の抗がん剤を安全に患者さんに点滴できるよう、混ぜ合わせる「ミキシング業務」も薬剤師の仕事です。当院では医療スタッフの安全に配慮し、薬剤部の専用施設で抗がん剤のミキシングを行っています。さらに、医師や看護師とより深く連携していくため、全病棟に薬剤師が常駐する「病棟薬剤業務」にも力を注いでいます。

奥野:「病棟薬剤業務」では、13の診療科の医師とのカンファレンスに、各担当薬剤師が週1回参加しているほか、病棟看護師のカンファレンスには毎日参加しています。医師の治療方針を理解し、患者さんやご家族の希望も理解した上で、薬剤師としての専門知識を加えて、処方提案を行うためです。
医師の賛同が得られた処方提案は、月刊の「臨床プレアボイド新聞」に掲載・配布し、薬剤部全体に周知を図っています。その提案件数は月130件を超える月もあり、医療安全推進委員会に提出後、病院全体で情報を共有するよう努めています。
このほか、「栄養サポートチーム(NST)」の薬剤師は、医師・管理栄養士・看護師・理学療法士とともに患者さんの栄養管理回診に同行してサポートを行い、栄養管理面での知識向上を目的とする「NST新聞」を隔月で作成して、Eメールで全職員に配信しています。薬剤部としては、毎週「医薬品情報室新聞『病棟衛生ひまわり』」を発刊し、年1回、まとめて製本したものをすべての医師と部署に配布して、医療安全の質の向上に貢献するとともに、多くの医師から高評価をいただいています。

松尾:私は「入院時持参薬鑑別業務」を担当しています。患者さんが入院時にお持ちになったお薬を全て確認して、安全に使用するための持参薬鑑別書を作成します。それに基づいて、お薬や健康食品との相互作用、入院中に行われる治療や検査への影響を考慮し、医師や看護師にお知らせしています。近年は、海外で購入又は処方されたお薬や見たこともない健康食品を利用している方もおられるので、どんな成分が含まれているのか調べるのに苦労することもあります。

中田:このように、薬剤師はチーム医療の一員として治療がスムーズに行われるよう、各科をサポートしています。薬剤師が携わっている業務や発信する情報の多くは、患者さんや他職種から目に見える形で行われており、薬剤部内はもちろん、他の職種のモチベーションアップにもつながっていると自負しています。

中浴:私は今年の春に着任しましたが、当院は職種間の垣根が低く、意思疎通や情報共有が円滑に行えており、多種多様な専門職がそれぞれの高い専門性を発揮して、チーム医療を実践できているなと実感しています。

 

がん患者さんの継続的な治療を外来でもサポート

Q:薬剤師さんが診察に同席されたり、外来を担当されたりしているそうですね。

中田:厳しい安全管理が求められる一部の抗がん剤を服用されている患者さんについては、入院時だけでなく、外来診察時にも治療計画のサポートと薬剤管理指導が必要です。このため、薬剤師も診察室に入って、医師・薬剤師・患者さんの三者で外来診療を行っています。
この業務が評価され、がんの患者さんついては、2年前から薬剤師と患者さんの二者で行う「薬剤師外来」を開始しました。担当医に「薬剤師と話したい」と言っていただければ、専用のお部屋で抗がん剤に関する質問や相談に対応していますので、遠慮なく何でも聞いてください。

高栁:医療の進歩にともない、従来入院で行っていたがん治療も通院で行われるようになってきました。初回の抗がん剤は入院して行い、その後は外来で抗がん剤治療を続けながら日常生活を送ったり、親御さんの介護、子育て、仕事などの社会的役割を果たしたりしなければならない時代です。継続的な治療のために、外来でも薬剤師がしっかりと関わり、患者さんが精神的にも健康で、少しでも日常生活が支障なく送れるように、薬剤部全体が一丸となって努力しているところです。

奥野:外来の診察が終わった後、医師から薬剤部に「今から患者さんと話して欲しい」という依頼が来ることがあります。「不安な気持ちを抱えたまま、患者さんを自宅に帰したくない。薬剤師さんと話すことで少しでも不安が軽減できれば、QOLが上がるのではないか」という医師の気持ちに応えるべく、薬剤部でも真摯に対応しています。

高栁:この「薬剤師外来」は患者さんから大変好評で、当院の自慢でもあり、病院機能評価では「S評価(秀でている)」をいただきました。

 

さらなる外来業務の充実と人材育成を

松尾

Q:今後の課題や目標をお聞かせください。

松尾:入院時に行っている持参薬の鑑別をもっと早い段階で行えないかと考え、近々、「持参薬外来」を始める準備を進めています。

奥野:当院の持参薬鑑別書は、例えば、手術に備えて血液をサラサラにするお薬の服用を控えるといった指示だけでなく、医師が今後の服薬計画を立てやすいように、薬剤師ならではの観点でアセスメントが示されており、医師や病棟看護師、病棟薬剤師も大いに助かっています。

 

中浴:今後は、入院前から薬学的な管理を始め、入院中も退院してからも、お薬を使っている間はずっと切れ間なく、薬剤師がキチンと関わっていけるように、薬学的支援を行っていきたいと思います。現在、がん患者さんに限られている「薬剤師外来」も、ほかの病気の患者さんにも広げていければと考えているところです。

中田:薬剤部としては、先輩が後輩を指導し、自分の知識を順に伝えていけるように、さらに教育に力を入れていきたいと考えています。

中浴:そうですね。当院は、がん専門薬剤師研修施設にもなっているので、若手を中心に、各種の専門薬剤師、認定薬剤師の資格をどんどん取得して、専門知識を医療現場で活かして欲しいと願っています。

──ありがとうございました。 

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